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「ベースはビートル、あとはお好みで!」世界中で人気のキットカー・スターリング ノバは最高にイカすスポーツカー【推し車】

日本でもこういうのが手軽に楽しめたらとウラヤマシイ文化

一説には日本に2台しかないと言われるノバが並んでいる光景は壮観ですね(画像はオーストラリア製のパービス エウレカ)。
flickr.com Author:jason goulding CC BY-SA 2.0

外国には「キットカー」という、パイプフレームやら既存車ベースやらで、オリジナルからレプリカまで好きなボディを載せて楽しめるという、素晴らしいクルマ文化があるんです!

日本でもカスタマイズカーの一種として似たようなものはありますが、海外だと国や地域によっては手軽に楽しめるわけでして。

今回はそんなキットカーの中でもとびっきりイケてる1台、単にカッコイイだけではなくキャノピー(ドアではありません!)の開き方も最高な、スターリング ノバを紹介します。

ベースがビートル?!とは思えない、最高にかっこいいスポーツカー!

ノバはアメリカでも生産され、この「スターリングGT」はアメリカ製の1977年モデル。
flickr.com Author:SoulRider.222 CC BY-SA 2.0

空冷エンジンをリアへ搭載するため、フロントには余計なものがないことを象徴するような低く鋭く伸びたフロントセクション、全高わずか1,000mmチョイ(代表的なスペックだと1,067mm)は、初代ロータス ヨーロッパと同程度、フォードGT40に迫ります。

しかし驚きなのは、このスターリング ノバ、もともとフォルクスワーゲン タイプ1、”ビートル”をベースにしたクルマだということで、あの丸っこいカブトムシが、なんでこんなペタンコのかっこいいスポーツカーにあるの?!と驚く人もいるでしょう。

実は、ビートルは現在主流のモノコックボディではなく、鋼板にリブを打って十分な強度を持たせたフロアパネルをシャシーとして、その上にボディを載せたプラットフォーム型シャシーなどと言われる構造で、極端な話、ボディなしでも走れます。

他のボディを載せてもクルマとして成立するため、「デューンバギー」などの名称で有名なサンドバギーや、ブラッドリーGTなどオリジナルスポーツカー、ポルシェ356レプリカなど、数々のキットカーやカスタムカーのベースになりました。

フォルクスワーゲン本家でも「カルマンギア」というスポーツカーを作りましたし、リアエンジン・リアドライブですから車内にプロペラシャフト用のトンネルは必要ないので着座位置は限界まで低くできて、何かと都合がいいんですね。

日本だとK4GPで有名なマッドハウスが、同じくリアエンジンのスバル サンバー(スバル製オリジナル)をベースに、オリジナルマシンからポルシェ956の縮小レプリカなど、数々のカスタムカーを作っています。

しかしそれらがレース用なのに対し、ノバはあくまでナンバーをつけ公道も走れるということで、イギリスのメーカーが販売したところ、キットカーとしてはかなりのヒット作になりました。

メカ好きの心を揺さぶるキャノピー開閉!

これもオーストラリア製のパービス エウレカPL30で1976年モデル。
flickr.com Author:Cars Down Under CC BY-SA 2.0

中でもクルマ好きから創作モノのメカ好きまで、マニアの心を大きく揺さぶりくすぐるキャノピー開閉方式。

ルーフやピラー、ウィンドウ周りごと油圧シリンダーで「ガパッ!」と開く姿は、どうにもSFチックでたまりません!

もちろん、開口部の大きさに対して乗降できるスキマは限られますし、太いサイドシルをまたいで乗り込むにはそれなりのコツを要しそうではありますが、そういう不便さすらカッコイイ!と思わせるのはデザインの勝利と言えるでしょう。

なお、キットカーとして長期間生産される中でFRPボディのデザインは統一されておらず、ノバを称するから絶対こういうカタチというわけではないのも、個性を重視するユーザーにとってはむしろ嬉しいポイントかもしれません。

あくまでベースはビートルながら、フェラーリやポルシェなどスーパーカーの名車と並んでも、全く格落ち感がないのも素晴らしいですね。

パイプフレームでより自由な構造へ発展

商標その他の関係で名前は違っても、ノバは今も世界中で愛されているスポーツカーのひとつ
flickr.com Author:SoulRider.222 CC BY-SA 2.0

ビートルのフロアパネルフレーム一式とパワートレーンの流用で始まったノバですが、イギリスのメーカーから製造権を買ったアメリカのメーカーは独自に発展させます。

すなわち、ストックカーレースなどで馴染み深いパイプフレーム構造に切り替え、パワートレーンは何でもアリ、エンジン搭載位置もオリジナルのリアエンジンだけでなく、ミッドシップ配置も可能!

商標上の問題から車名は「スターリング」となるようですが(他に国や地域によって別な名前もある模様)、外見上は基本的に昔ながらのスターリング ノバのまま、中身は最新のメカニズムを搭載、スバルの3.6リッターフラット6を積む例などもあるようです。

ノバ最大の特徴である、上方開閉式キャノピーやデザインは活かしつつ、中身にこだわらない大らかさはアメリカならでは、ということでしょうか。

2023年現在はどうなのか情報不足なのものの、わりと近年まで生産が続いていたことはわかっており、そのうちEV版など新世代パワーユニット版も登場しそうで、どんなにクルマが変わっても、こういう形ならいつまでもクルマ趣味を続けていけそうですね。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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